1-ⅲ サブプライム関連商品の拡散-多重加工・金余り・リスク評価
前述のような証券化商品は、債権を小分けにして投資家に販売するために債権者数の増加を伴う。
加えてサブプライム関連商品は、多重加工という商品面での要因とそれゆえにリスク評価が困難であること、金余りを背景とした世界的景況感や米国不動産価格の継続的な上昇などによりその拡散に拍車がかかった。
・多重加工
すでに述べたように、住宅ローン→MBS→CMO→CDOの順に債権が加工され、金融商品としての特性が明確になるとともにその構造も複雑になる。
そのため、商品の性質に合わせて、例えばCMOやCDOのシニア債、メザニン債など低リスク部分は銀行など金融機関や機関投資家、リスクの高いエクイティ債はファンドなどに流通しやすくなり、金融のグローバル化も手伝って世界各地に拡散した。(表:CDO世界流通量推定→ABS,CMO)
しかしその複雑性ゆえにそうとは知らず結果的にサブプライムローン関連債券を組み込んだCDOを購入するケースも増えた。
・リスク評価
リスク評価の基準には、主に民間の格付け機関による格付けが用いられた。
しかし、商品の加工段階が進むにしたがって細かな部分の評価を行うことが困難になり、評価が甘くなっていった。
この背景には、格付け機関の収益源が格付け対象証券の発行元であるという収益体制のゆがみがあったとも指摘されている。
ともかく、この高い格付けを裏づけとして市場で売買が行われたため、流通が促進され、また新たな証券化が促されて市場規模も拡大していった。
・世界市況
ここ数年間、世界的な流動性過多が指摘されているように、グローバルマーケットには資金があふれていた。
(http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2006/2006honbun/image/i1111000.png:マーシャルのK=マネーサプライ/名目GDP)
それゆえにより高いリターンを望める投資が好まれるとともに、放漫な投資も行われるようになっていた。
そのため、アメリカの住宅バブルが指摘されながらも投資を見直すものは少なく、高い格付けも手伝ってサブプライム関連商品に対する投資は増加していた。
以上3つの要因が相乗効果的に当該商品の流通・市場規模拡大を促し、世界に広くサブプライム関連商品が行き渡ることになった。
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・多重加工
1-ⅱで述べたとおり、MBSをトランシェしたCMOの開発により、そのシニア債・メザニン債部分が金融機関や機関投資家に普及した。
加えて、更なるリスク平準化を目指してそれらのモーゲージを担保とした証券化商品を組み込んだCDOの組成、さらにCDO Squareと呼ばれるCDOを組み込んだCDOの販売がなされるようになり、流通するようになった。
この背景には、格付け機関による高い格付けがあった。
一般に、CMOのシニア債部分にはAAA~AA、メザニン部分にはAA~BB程度の格付けがなされるものが多かったようだ。
またCDOに至っては、その複雑性ゆえに格付け機関も正確なリスク評価を行うことが困難となり、実際よりも高い評価が与えられることになった。
これには、格付け機関の収益源が格付けされる金融商品の発行元であるという収益構造のゆがみがあったことが指摘されている。
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