1−ⅴ 中央銀行による歯止めと鎮静、残る不安
・歯止めと鎮静
今回のショックの収束において際立った点は、日米欧各国の中央銀行が足並みを揃えて介入を行った点であろう。
これは8月9日からの連日の資金供給において顕著である。
そしてその介入は全体的に見て,成功したように思われる。
以下では米欧日の順に見ていく。
・米国
FRBが傘下のニューヨーク連銀を通じて,9日に約240億ドル、10日には2回に分けて約350億ドルを供給するなどし、8月21日現在で9日以降の資金供給は総額1012億5千万ドルに達した。
また、FRBは金利の引き下げも行い,公定歩合を8月17日には6.25%→5.75%に,一ヶ月後の9月18日にはさらに0.5ポイント下げて5.25%とした。
またFF金利についても、9月18日に0.5ポイント下げ5.25%とした。
これにより,市場に大きな安堵感が広がった。
・欧州
資金供給総額で見た場合には,欧州が日米欧2カ国1地域の中で最大である。
ECBが9日から13日までの3営業日で実施した資金供給の合計は約2035億ユーロに達した。
また、インフレ懸念から利上げしたい意向を示しながらも欧州また世界市況に配慮して(10月)現在に至るまで利上げを見送り、ユーロ圏13カ国に適用する政策金利を4.0%にとどめている。
・日本
日銀は8月10日から16日までに3度にわたり総額2兆円の即日供給オペを実施し、米欧の中央銀行と足並みを揃えた。
ただしこの間14日には資金吸収オペを2度にわたって行い,計1兆6000億円を市場から吸い上げている。
これは市場金利が誘導目標の0.5%を下回る水準で推移していたためである。
また、超低金利から脱却するための利上げ姿勢を堅持しながらも、ECB同様(10月)現在に至るまで利上げを留保している。
・残る不安
各中央銀行の迅速な対応により、市場不安は一応の収束を見た。
しかし、依然として金融機関に隠れた損失があるのではないかという疑念と、今回の問題がどこまで実体経済に影響するかなど未知数の点があり、市場の不安はぬぐいきれていない。
これは、CDOやCDO Squareと呼ばれるような複雑な構造を持った証券化商品が広く普及したため、格付け機関はおろか保有者自身にあっても、その具体的な損失額を見極めるのが困難となっていることによる。
また、このショックがどの程度震源地米国の個人消費に影を落とすかが不透明である以上、例えば直接的には米国内需要に依拠した活動を行う企業への評価などが確定せず、したがってそれらの企業の株価(の一部)も手探りの状況におかれることになる。
また、そもそもの原因の究明と今後の対策も具体的な課題として残っている。
これは、住宅バブルはなぜ形成されたか、そもそもどこが適正価値とバブルの境界であったのか、また高度化した金融手法の功罪といった点であり、そういったところに対してどのような教訓を見出し金融市場を整備していくかということであろう。
現在アメリカで議論されている民間格付け機関の責任論、今後の処遇などがこの範疇に含まれる。
これらの諸問題が解決、あるいはそれらに対する明確な指針が明らかにされた時点で初めて、市場の不安が払拭されるのである。
3 件のコメント:
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→株式市場での動揺は帰結したように見える
(いまだABCPなどサブプライム関連では根強い警戒)10月21日現在
ジャスダックが日経225を下回る
=リスクへの警戒
ダウが高値になっている(株高)のはなぜ?
→利下げ(9月半ば)による株高、インフレ懸念残る
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