2 投資銀行の関与
ⅰ 証券化とその必要性
以下では,ローンの貸し手と借り手、証券化商品の買い手と売り手に分けて証券化に対するニーズを考察する。
・貸し手(ローン組成元)
ローンの貸し手に必要なものはまず原資であり、関心事はいかに確実に回収できるかである。
ローンの証券化によって、原資を投資家から集めることが出来るようになったが、これはそれまで銀行などまとまった資金を保有する機関でなければ参入できなかった住宅ローン分野に、資金力を裏づけとしない企業も参入できるようになることを示す。
また、原則貸し倒れなどのリスクは投資家が保有してくれるので、ローン会社はそういったリスクから開放される。
この特性ゆえに、従来難しかった固定金利の住宅ローンを民間で行うことも可能になった。
・借り手
借り手の最大の関心事は、いかに低金利で融資を受けられるかにある。
これについては,米国で政府系金融機関が証券化を行っているように,公的性格を持つ機関がその信用力を担保として債券発行するため、証券化ローンそのものの貸出金利も最終的には低く抑えることが可能となる。
しかし、サブプライムローンのほとんどは政府機関への売却基準を満たしておらず、民間金融機関による証券化がほとんどである。
ただ、世界的な金余りなどを背景に、サブプライムローンにおいても金利は実際のリスクより甘く評価されていたようである。
・買い手
証券化商品の買い手として、ここでは金融機関あるいは機関投資家やファンドを想定する。
さて、金融機関や機関投資家は比較的低リスクな商品を、対してファンドは高リスク商品を保有する性質があり,また彼らは分散投資を行うがゆえに商品の多様性を求めている。
住宅ローン証券化商品はその意味でも多様性を担保するものであり,またリスクトランシェにより各投資主体の選好するリスク性質をもった商品に加工可能であることから、市場のニーズに合致していると言える。
さらに米国では政府系金融機関が証券化に関わることが多かったため,市場規模・信用の点から見ても証券化商品は魅力であった。(サブプライムは民間)
・売り手(発行体)
米国では主に,プライムローンにおいてはジニーメイやファニーメイなどの政府系金融機関が住宅ローン証券化を行っている。
サブプライムローンについては,これら政府系金融機関に売却できる基準を満たしていないことから民間企業が発行体となっている。
政府系機関による証券化が行われていることなどから、住宅ローン証券化商品が買い手にとって身近なものになっており、また多用な形態で発行されたため、商品は売り手から買い手にスムーズに流れていた。
そのことも手伝って、ローン証券化は、モーゲージバンクなどローンの販売と証券化を一括して行う機関にとって、自らリスクを保有することなく収益を上げることができる画期的な手法であった。
リーマンブラザーズなど米国大手投資銀では、これらのモーゲージバンクを買収する動きもあったが、それもこうした利益の観点からであろう。
3 件のコメント:
まず、金利はリスクに比例するものである。
証券化により債権を債券化すれば,これをポートフォリオに組み込むことによってリスクヘッジできる。
ゆえに証券化によりリスク圧縮の余地が生まれ,金利を下げることが可能になる。
ならない。
ローン証券化の意義には、
・資金調達(原資を自前で用意しない)
のほかに、
・保有債権の早期回収
という面はないのか?
サブプライムを扱うモーゲージバンクの買収元としての投資銀行を取り上げるべき。
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