2 投資銀行の関与
2−ⅰ 証券化とその必要性
住宅ローンには、オリジネーション(ローン組成)、サービシング(債権回収)、そしてセキュリタイゼーション(証券化)という3つの段階がある。
このうち投資銀行が手がける部分がセキュリタイゼーションである。
セキュリタイゼーションの必要性については
・ローン原資の調達(ローン組成側)
・リスクの投資家移転による商品の幅の拡大(ローン供給者・被供給者側)
・投資家ニーズ(投資家側)
の3側面から説明できよう。
まず、ローン原資の調達についてであるが,証券化によって資金を投資家から調達することが可能になると,貸し手はローン原資を直接手元に保有する必要がなくなる。
つまり、それまで銀行など一定以上の資金力を有する機関にしか開かれていなかった住宅ローン分野に,資金力を持たない企業が参入することができるようになったのである。
これにより、モーゲージバンクと呼ばれる住宅ローン専業の会社が数多く生まれた。
次に商品の幅の拡大についてであるが、証券化以前は長期の固定金利融資を民間で行うことは困難であった。
これは、金利変動リスクを吸収することが難しかったためである。
しかし、証券化によりリスクを投資家に移転すること(金利のスワッピング)によって、民間の企業でも固定金利融資を行うことができるようになった。
また、投資家は様々な種類のリスクを求めているため,証券化されるローンの種類も単純な固定金利,変動金利だけでなく、それらの組み合わせ,あるいはインタレストオンリーローン等様々なものが売り出されるようになった。
そして最後に投資家ニーズについて述べる。
先にも触れたように,投資家は様々な種類のリスクを求めている。
これは、一口に投資家といっても銀行や生損保など安定的・長期的な投資を主とするものもいれば、ファンドのようにハイリスクハイリターンを狙う投機的なものもおり、加えて彼らは投資手法として分散投資を行うものだからである。
そういった投資家にとっては,住宅ローン債券という投資分野があること自体まず有益であり,加えてCMO・CDOなどリスクトランシェがなされることにより住宅ローン債券の中でもより投資家個々のニーズにあった金融商品が提供されることになる。
垂直統合
また投資銀行業界では、2000年代に入ってからモーゲージバンク等オリジネーション・サービシングを行う金融機関を買収により取得し、ローン(主にサブプライムなどアセットクラスのローン)関連事業を垂直統合しようとする動きが見られた。
この目的は,垂直化によるコストカットと証券化するローン債権の安定的な取得の2点であると思われる。
実際,この分野で先行していたリーマンブラザーズなどは着実に利益を上げ,また住宅ローン証券化における裏付け資産の自前調達率も2006年12月時点で過去数四半期において50%強を確保するなどの実績をあげていた。
そうしたこともあり,垂直統合に踏み出す投資銀行は多く,またその経済的規模もメリルリンチのファースト・フランクリン買収(13億ドル)に見られるように巨額なものが多く、投資銀行を中心に大規模な市場再編が見られた。
0 件のコメント:
コメントを投稿