2−ⅱ 証券化と放漫融資
ローンの売り手と返済先(リスク保有者)の乖離
前述のような必要性から住宅ローンの証券化が行われるようになったのであるが,これは構造的な危うさを秘めていた。
本来リスクテイクするはずの貸し手がリスクを負わないのである。
従来であれば貸し手である銀行は原資を自らの抱える口座から貸し出しているため,常にローンの回収を念頭に置いていたがが、証券化ローンにおいては直接の売り手であるモーゲージバンク等は投資銀行等証券発行者にローン債権(金銭の授受を行う前段階でも契約により(?)発生するようだ)を売り渡すので,その後のローンの回収がうまく行こうが行くまいが収益には直接関係しない。
極端に言えば,債務不履行に陥っても短期的にはかまわないのである。(むろん、債務不履行が増えればローン債権にたいする信頼が薄れ,ニーズがへる為に自身の売り上げも落ちるのであるが,ある種のナッシュ均衡が働くために(自分が売らなくても他が売り,結果としてバブルははじけ売り上げは減る=自分も売っておいた方が得)債務不履行リスクに頓着しなくなる)
それゆえ,最前線の住宅ローンの売り手の審査基準は畢竟甘くなり、住宅価格の継続的な上昇も手伝ってホームエクイティローンなどで放漫な融資契約が多く結ばれることとなった。(サブプライムローン総額推移のグラフ)
当然ながらこれは後のショックを拡大した一要因となった。
投資銀行の関与
前項目でも触れたように,垂直化によって投資銀行も住宅ローン販売領域に進出していた。
それと同時に,ある面では証券化を行う主体でもあり、それゆえ未証券化のローン債権、あるいは未販売の証券化ローンを常に保有しており、またある面では自身も多額の住宅ローン関連証券を保有する投資家であった。
通常、証券化主体、投資主体は債権を保有することになるため、債権に対して適切な評価を行うインセンティブがあるが、格付けに頼りすぎていたことなどもあり結果的に見て過度に楽観的なリスク認識に立っていたため、行き過ぎた融資に歯止めをかけることができなかった。
放漫投資
しかしこの問題も、投資家としての投資銀行の楽観的な姿勢に見られるように,そもそも証券化商品が売れるという前提のもとに発生したのであり、放漫融資は放漫投資の結果であると言える。
この放漫投資については、同章ⅳ 金あまりと拡散 において述べることにする。
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