3-ⅳ 沈静時期の不透明性
事態の沈静は、金融市場で見れば各金融機関の実際の損失額が出揃うことであり、また実体経済で見れば米国の当面の消費の落ち込みが十分に予見される段階に至ってはじめて実現されるとする見方が一般的であるが、重要なところはそれがいつか予測がつかないところにある。
前者については、この4半期における決算が一つの目安にはなるだろう。
しかし、10月末の段階で米大手メリルリンチが損失額を55億ドル(約6000億円)から79億ドル(約9000億円)に更新したように、未だ確定的な評価を下すことが出来ない。
あまりに複雑化したCDOがその主因であるといわれており、その推定値の算出にはなお時間がかかるといわれている。
あるいは、日本のバブルが未だもってその全容を明かしていないように、正味損失の全容が明らかになることは無いのかもしれない。
その場合は投資家心理の自己再生を待つこととなるだろうが、その時期は不透明である。
ただし、ショックの後も過剰投機マネーは存在し、原油などに流れ込んでいることを考えれば、あるいは今回のショックによる流動性過剰に対する「揺り戻し」効果は限定的であると見ることも出来るのかもしれない。このことには各国中央銀行の迅速な連携対応も関係しているだろう。
また、民間金融機関の連携による大規模な基金の設立なども行われいることも挙げておく。
後者についても、実際の消費者行動に左右されざるを得ないために、実際の経済動向の注意深い観測によるしかなく、基本的に経済が停滞するのか、するとすればそれがどの程度の規模でどのくらいの間続くのかを見積もるのは難しいだろう。
米国でサブプライム層の救済制度が検討されているように、何らかの行政的な対策によってその程度を軽減する試みはとられているが、その効果はいまだ断ずる段階に無い。
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